約10年ぶりのアメリカ上陸。ニューヨークでの生活、写真。
by NYlawyer
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フラット化する世界/The World is Flat
「地球は丸いか」と問われれば、人は「丸い」と答える。では、「世界は丸いか」と問われれば何と答えるか。この本によれば、「世界はフラット化している」と答えるのが正しそうである。
トーマス・フリードマン『フラット化する世界』日本経済新聞社を西海岸に向う飛行機の中で読み始め、ようやく読了。
この本のいう「フラット化」というのは簡単に言ってしまえば「グローバリゼーション」の延長のようなもので、厳密に定義づけされていない(はず。見落としがあるかも。)。著者は膨大な事実・具体例を挙げてそれを積み重ねることで、「フラット化」しつつある世界を示そうとしている。著者が挙げる10のフラット化の要因は、以下の通り。カッコ内は僕が補充。
1ベルリンの壁崩壊
2インターネットの普及(ネットスケープ)
3共同開発を可能にした新しいソフトウエア(リナックス)
4アップローディング(ブログ、YouTube)
5アウトソーシング(Y2Kとインド)
6オフショアリング(中国のWTO加盟)
7サプライチェーン(ウォールマート)
8インソーシング(UPS)
9インフォーミング(グーグル)
10ステロイド
ちなみに、英語版では、こうなる。
Flattener #1. 11/9/89
Flattener #2. 8/9/95
Flattener #3. Work Flow Software
Flattener #4. Uploading
Flattener #5. Outsourcing
Flattener #6. Offshoring
Flattener #7. Supply-Chaining
Flattener #8. Insourcing
Flattener #9. In-forming
Flattener #10. The Steroids
上巻は、「世界はいかにフラット化したか」について、あんな事例、こんな事例があるのかと個人的には「へー」「ほー」の連続であった(ビジネスの人にはさほど新しいことではないかもしれないが)。下巻は、フラット化が浮き彫りにした影--それは貧富の差であったり、教育の荒廃であったり、テロリズムであったりするわけだが--を紹介する。例えば、インドや中国は躍進しているが、その成長の果実を享受できない人も気が遠くなるくらい多い。
日本語の書評を読むと、所詮はアメリカ人がアメリカ中心の視点でどうのこうのとあるが、個人的には、そんなことは何とも思わない。むしろフラット化する世界の中に自分の国をどう置くかが問われるのではないだろうか。アメリカ人が書けばこうなるし、日本人が書けば別の形になるというそれだけのことだ。
アメリカが優位に立っているからグローバリゼーション・フラット化を賞賛しているというのは、正しくない。フリードマンは、フラット化する世界でアメリカが生き残れる保証はないと明言し、生き残りのためには、国内との関係では教育制度の建て直しを、国外との関係では優秀な人材をアメリカに呼び込むためのビザの発給その他の手当てを打つよう述べる。この国に足りない部分は他の国から優秀な人材を呼び込み、それがまたこの国を活性化する、という好循環を生み出す。これができるところにアメリカの強みがある。また、グローバリゼーション・フラット化が、決して"Winner takes all"にならないことも本書を読めば分かるはずである。
ただ、乱暴な言い方をすると、アメリカの中での格差の現状は以前に比べて改善されていないような気がする。というのは、確か、冷戦終了後あるいは湾岸戦争後にアメリカの国内問題がクローズアップされ、それが当時のブッシュ大統領の再選を妨げたはずだが、当時の危機意識は「アメリカ中産階級の崩壊」であり、スローガン的にいえば、親の代よりも良い教育を受け、親の代よりも高等な教育を受け、親の代よりも大きい家に住むというアメリカン・ドリームの実現が、現代アメリカでは困難あるいはほとんど不可能となっているというものであった。(佐々木『現代アメリカの自画像――行きづまる中産階級社会』(日本放送出版協会[NHKブックス])、アーサー・シュレジンジャー・Jr.『アメリカの分裂』(岩波書店))
フリードマンはこの点についてさほど多くのページを割いているわけではないが、読む限り、現状は10年以上前より良くなっているとは言えない。アメリカの国内でもフラット化による格差が広がりつつあるのである。著者が指摘するような巨大で自由な資本市場及び流動性の高い労働市場を有するアメリカですら格差がビルトインされつつあるのであれば、その他の国ではさらに厳しいconsequenceが待ち受けていることは容易に想像できるのではないだろうか。
自民党の総裁選の立候補予定者は、小泉改革に伴う痛みが発生しつつあることを一様に強調し、疲弊しきった地方に配慮する方針を打ち出している。日本も世界の「フラット化」に巻き込まれずにはいられまいのであれば、これを機に打って出るというかそれこそ大胆な改革を推し進めるパワーが出てきてもいいと思うのだが。日本社会が格差社会になりつつあるのではないかという議論があることは承知しているが、政治的思惑もあってか、どうも日本ではゆり戻しの議論がすぐに出すぎる傾向にあるような気がする。「東京-地方」という二元論や、「地方を守るっ」って叫ぶだけでは少し物足りないような。。。もっというと、「ニート相談センター」って何ですか?って感じですが。
グローバリゼーション・フラット化を前提にして日本がこれにどう立ち向かい生き残るのか、もっと「日本中心の視点」で国益を前面に押し出して考えることが大事ではないか。って、なんかチープなまとめになってしまいました。。
『ウェブ進化論』もそうだが、この本を4、5年後に読んでもほとんど意味がない。あるいは2年後であっても、意味がないかもしれない。同時代の動きを追うために今読まなければ意味がない、本書はそういう類の本である。学者が書いたものではないので厳密さ・緻密さはないが、むしろそれに縛られないことで「フラット化」しつつ世界のダイナミズムを感じ取ることができる。もちろん厳しい批評もあるが。
・MITでのトーマス・フリードマンのスピーチ
・HBS Working KnowledgeのReview
・雑誌Foreign AffairsのBook Review
・フーバー研究所のPolicy Review
・なお、オープンソースについては、梅田望夫氏のMy Life Between Silicon Valley and Japan:シリコンバレー精神とオープンソース思想を巡ってのトーク
W. R. Grace Building
1114 Sixth Ave at W43.
トーマス・フリードマン『フラット化する世界』日本経済新聞社を西海岸に向う飛行機の中で読み始め、ようやく読了。
この本のいう「フラット化」というのは簡単に言ってしまえば「グローバリゼーション」の延長のようなもので、厳密に定義づけされていない(はず。見落としがあるかも。)。著者は膨大な事実・具体例を挙げてそれを積み重ねることで、「フラット化」しつつある世界を示そうとしている。著者が挙げる10のフラット化の要因は、以下の通り。カッコ内は僕が補充。
1ベルリンの壁崩壊
2インターネットの普及(ネットスケープ)
3共同開発を可能にした新しいソフトウエア(リナックス)
4アップローディング(ブログ、YouTube)
5アウトソーシング(Y2Kとインド)
6オフショアリング(中国のWTO加盟)
7サプライチェーン(ウォールマート)
8インソーシング(UPS)
9インフォーミング(グーグル)
10ステロイド
ちなみに、英語版では、こうなる。
Flattener #1. 11/9/89
Flattener #2. 8/9/95
Flattener #3. Work Flow Software
Flattener #4. Uploading
Flattener #5. Outsourcing
Flattener #6. Offshoring
Flattener #7. Supply-Chaining
Flattener #8. Insourcing
Flattener #9. In-forming
Flattener #10. The Steroids
上巻は、「世界はいかにフラット化したか」について、あんな事例、こんな事例があるのかと個人的には「へー」「ほー」の連続であった(ビジネスの人にはさほど新しいことではないかもしれないが)。下巻は、フラット化が浮き彫りにした影--それは貧富の差であったり、教育の荒廃であったり、テロリズムであったりするわけだが--を紹介する。例えば、インドや中国は躍進しているが、その成長の果実を享受できない人も気が遠くなるくらい多い。
日本語の書評を読むと、所詮はアメリカ人がアメリカ中心の視点でどうのこうのとあるが、個人的には、そんなことは何とも思わない。むしろフラット化する世界の中に自分の国をどう置くかが問われるのではないだろうか。アメリカ人が書けばこうなるし、日本人が書けば別の形になるというそれだけのことだ。
アメリカが優位に立っているからグローバリゼーション・フラット化を賞賛しているというのは、正しくない。フリードマンは、フラット化する世界でアメリカが生き残れる保証はないと明言し、生き残りのためには、国内との関係では教育制度の建て直しを、国外との関係では優秀な人材をアメリカに呼び込むためのビザの発給その他の手当てを打つよう述べる。この国に足りない部分は他の国から優秀な人材を呼び込み、それがまたこの国を活性化する、という好循環を生み出す。これができるところにアメリカの強みがある。また、グローバリゼーション・フラット化が、決して"Winner takes all"にならないことも本書を読めば分かるはずである。
ただ、乱暴な言い方をすると、アメリカの中での格差の現状は以前に比べて改善されていないような気がする。というのは、確か、冷戦終了後あるいは湾岸戦争後にアメリカの国内問題がクローズアップされ、それが当時のブッシュ大統領の再選を妨げたはずだが、当時の危機意識は「アメリカ中産階級の崩壊」であり、スローガン的にいえば、親の代よりも良い教育を受け、親の代よりも高等な教育を受け、親の代よりも大きい家に住むというアメリカン・ドリームの実現が、現代アメリカでは困難あるいはほとんど不可能となっているというものであった。(佐々木『現代アメリカの自画像――行きづまる中産階級社会』(日本放送出版協会[NHKブックス])、アーサー・シュレジンジャー・Jr.『アメリカの分裂』(岩波書店))
フリードマンはこの点についてさほど多くのページを割いているわけではないが、読む限り、現状は10年以上前より良くなっているとは言えない。アメリカの国内でもフラット化による格差が広がりつつあるのである。著者が指摘するような巨大で自由な資本市場及び流動性の高い労働市場を有するアメリカですら格差がビルトインされつつあるのであれば、その他の国ではさらに厳しいconsequenceが待ち受けていることは容易に想像できるのではないだろうか。
自民党の総裁選の立候補予定者は、小泉改革に伴う痛みが発生しつつあることを一様に強調し、疲弊しきった地方に配慮する方針を打ち出している。日本も世界の「フラット化」に巻き込まれずにはいられまいのであれば、これを機に打って出るというかそれこそ大胆な改革を推し進めるパワーが出てきてもいいと思うのだが。日本社会が格差社会になりつつあるのではないかという議論があることは承知しているが、政治的思惑もあってか、どうも日本ではゆり戻しの議論がすぐに出すぎる傾向にあるような気がする。「東京-地方」という二元論や、「地方を守るっ」って叫ぶだけでは少し物足りないような。。。もっというと、「ニート相談センター」って何ですか?って感じですが。
グローバリゼーション・フラット化を前提にして日本がこれにどう立ち向かい生き残るのか、もっと「日本中心の視点」で国益を前面に押し出して考えることが大事ではないか。って、なんかチープなまとめになってしまいました。。
『ウェブ進化論』もそうだが、この本を4、5年後に読んでもほとんど意味がない。あるいは2年後であっても、意味がないかもしれない。同時代の動きを追うために今読まなければ意味がない、本書はそういう類の本である。学者が書いたものではないので厳密さ・緻密さはないが、むしろそれに縛られないことで「フラット化」しつつ世界のダイナミズムを感じ取ることができる。もちろん厳しい批評もあるが。
・MITでのトーマス・フリードマンのスピーチ
・HBS Working KnowledgeのReview
・雑誌Foreign AffairsのBook Review
・フーバー研究所のPolicy Review
・なお、オープンソースについては、梅田望夫氏のMy Life Between Silicon Valley and Japan:シリコンバレー精神とオープンソース思想を巡ってのトーク
Is the World Flat?
Well, maybe. But not here.
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1114 Sixth Ave at W43.
by NYlawyer
| 2006-09-06 08:47
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