約10年ぶりのアメリカ上陸。ニューヨークでの生活、写真。


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ロースクール的コーポレート・ガバナンス論 経営判断の原則編②

前回の最後に、BJRがどう「機能」しているかの評価は云々、と書いたのだが「機能」という言い回しが適切なのか少し自信がなくなってきたが、とりあえず先に進む。

さて、BJRがどう機能しているのかという問題はとても難しいというか、良く分からない問題なのだが(なので以下は大幅に書き直す可能性大)、Bainbridge, Stephen M., "The Business Judgment Rule as Abstention Doctrine" (July 29, 2003). UCLA, School of Law, Law and Econ. Research Paper No. 03-18.によると、Business Judgment Ruleに関するデラウェア州裁判所の判例・裁判例には大きく2つの流れがあり、以下のように整理される。

1つの流れは、裁判所が取締役の責任の有無を判断するための基準liability standard)としてBJRを理解する判例・裁判例群である。Cede&Co. v. Technicolor, Inc.
もう1つの流れは、裁判所が取締役の責任の有無を審査するための推定presumption)を与える、「裁判所の謙抑的な姿勢」を示す実質的な法理(substantive abstention doctrine)と理解する判例・裁判例群である。Shelnsky v. Wrigleyや、Kamin v. American Express Co.

liability standardとする立場
liability standardと理解すれば、取締役が誠実に(good faith)ビジネス上の判断を下したのであれば、裁判所は信認義務違反の責任を認定しないという結論になる。例えば、Technicolor判決は、BJRを取締役会の意思決定への司法の介入に対する強力な推定を提供するものとして上で、この推定を覆すためには原告は、被告取締役が3つの信認義務(good faith, loyalty, due care)のいずれかに違反したことを立証しなければならない、とした。
そして、もしこの立証に成功しない場合にはBJRが発動し取締役は保護され、裁判所は取締役の意思決定を後知恵で判断することはないと判示した。
他方、この立証に成功し推定を覆すことができた場合には立証責任が原告→被告へと転換され、取締役が手続面及び実質面のそれぞれがfairであることを立証する責任を負う(entire fairness)。取締役がその立証に成功しない場合には、信認義務違反の責任を負うことになる。

substantive abstention doctrineとする立場
substantive abstention doctrineとする立場によれば、(株主代表訴訟における)原告株主がある推定(presumption)を覆さない限り、裁判所は実質審理(事実審理)をせず原告の訴えを門前払いするという結論になる。
では、その推定とは一体何なのかであるが、原告の主張中(1)取締役の自己取引(not disinterested)、(2)取締役が独立性(independence)を欠いていること、(3)判断に誠実さ(good faith)を欠いていること、がいずれも認められない場合には、裁判所が判断する前提を欠くので、裁判所は判断を控えることになる。要は、取締役というものは、自己取引を行うことはなく、独立性が維持されており、誠実に判断するものであるという推定である。この立場では、(1)(2)(3)以外の事案について裁判所がrationalityを判断する余地はない。WT Allen, JB Jacobs and LE Strine, Jr., "Function Over Form: A Reassessment of Standards of Review in Delaware Corporation Law," 56 Business Lawyer, Aug. 2001, at 1287.
ここでのポイントは、裁判所は判断すること自体を回避しているのであって、取締役の判断が正しかったとお墨付きを与えている訳ではないという点である。

Bainbridgeによる評価
Bainbridgeによる評価は、以下の通りである。
まず、①Technicolorのような理解をするとBJRに大した意義は認められない。BJRは、「prima facie caseの主張ができない場合には、訴えは棄却される(summary judgment)」という一般原則を言い換えただけで、特別なことを言っていないからだ。

また、②Technicolorのアプローチでは、和解成立の可否に違いが出てくる。なぜならば、被告取締役としては門前払いをしてもらえれば次の手続であるディスカバリー(discovery:証拠等の開示手続き)に進まなくて済むが、原告が門前払いを免れれば(survive a motion to dismiss)、ディスカバリーに応じざるを得ない。ディスカバリーに伴う物理的・時間的・金銭的・精神的負担は相当のものらしい(僕は、まだこのディスカバリーの仕事はアサインされていない。過去の弁護士経験談によると一度やると「お腹いっぱい」ということのようだ)。したがって、原告の立証がうまく行きそうな場合には(門前払いを免れそうな場合には)、取締役としては和解に応じてしまう方が得策である。これは、実務的には非常に大きな違いだ。

最後に、③Technicolorのアプローチでは、Duty of Care違反の事案について、取締役の意思決定プロセスの適正さという「手続」面だけではなく、その判断が合理的なものであったか否かという「実質」面の審査の余地を残しているという点で、取締役の意思決定への司法審査の範囲を広げているように見える(ただ、Technicolorのような立場でも、Due Careをもっぱら手続の適正さの問題と捉えることで実質面の審査を避けようとするのであるが)。(この後、彼のDirector Supremecy理論と絡めて論じられるが、これは省略)

Bainbridgeによる判例の整理は個別事例の蓄積に基づくのであるが、このアプローチの相違はどのように理解したらよいのだろうか。アメリカがCase Lawの国であることを示す良い例ではあるのだが、Business Judgment Ruleとは何なのか、はっきり言って僕は未だによく理解できない。
ただ、デラウェア州のある弁護士に言わせると、
どんなに頭が悪くて本当に出来の悪い取締役でも、誠実に(Good Faith)ビジネス判断をしたとされる限り、信認義務違反の責任は問われない。それが、BJRさ。」

ということになる。確かに頭が悪くても誠実な人というタイプはいるからこれは間違いないのだろうけど、ここでのポイントは「どんなに」という点にある。

*前回、取締役がこのルールを享受するためには、取締役の行為が「違法(illegal)なものではなく、取締役が判断の対象事項に利害関係を有しておらず(disinterested)、当該判断が誠実(good faith)になされたものであることが必要」と書いたが、よく考えるとこの書き方はミスリーディングである。このルールに照らして判断してから違法かどうか(=信認義務違反かどうか)が分かるはずなのに、違法(illegal)でないことが定義に組み込まれているのはおかしいので、Illegalは「法令違反」と訳すべきであったかも知れない(と、さりげなく訂正)。

**彼が、BJR適用の究極形(?)とも言うべく、デラウェア州衡平法裁判所が昨年の夏に下したウォルト・ディズニー社の株主代表訴訟判決を念頭に置いていることは、間違いない。

***Good Faithという概念はアメリカ法ではよく出てくるのだが、この言葉の意味も実はよく分からないものがある。法文としてはデラウェア州会社法の102条(b)(7)に用いられているが、立法過程でも特に定義は与えられていない。このことは、good faithという概念が判例法上形成されてきたことを物語っているように思われる。good faithと上記ディズニー判決に触れたものとして、Griffith, Sean J., "Good Faith Business Judgment: A Theory of Rhetoric in Corporate Law Jurisprudence" . Duke Law Journal, Vol. 55, No. 1, 2005

次回は、信認義務とBJRの関係について
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by NYlawyer | 2006-10-04 13:42 | Law and Business