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約10年ぶりのアメリカ上陸。ニューヨークでの生活、写真。


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ロースクール的コーポレート・ガバナンス論~ステークホルダーの利益②

先日の、ロースクール的コーポレート・ガバナンス論~ステークホルダーの利益①を前提に、(2)プリンシパル―エージェント・モデルを批判する議論を通じて、ステークホルダーの利益を考慮すべきとの立場を紹介する。

チーム・プロダクション・モデル(Team Production Model)
会社経営は、株主の支出による資本だけで成り立っているのではなく、債権者、サプライヤー、顧客、経営陣、従業員という「チーム」の貢献があって初めて成功する。伝統的なプリンシパル―エージェント・モデルは、債権者、サプライヤー、顧客、経営陣、従業員らは正式な契約と政府による規制により自分自身を守ることができる(守られる)からこそ投資をしているのだという前提を置いているが、実際には正式な契約(formal contarct)と政府による規制(government regulation)だけで自分自身を保護できるか(保護されるか)どうか定かではない(Uncertain)ことは容易に想像できる。逆にいうと、自分たちを守るものが正式な契約と政府による規制しかないと分かれば、債権者、サプライヤー、顧客、経営陣、従業員は会社にコミットすることを躊躇するであろう。

そこで登場するのが取締役会である。取締役会は、株主にも、株主以外の者にも、契約では守ることのできない、企業特有の貢献と投資(firm specific contribution and investment)を奨励することができる。取締役は、会社を活発且つ健全にし会社経営に成功することで自分たちの地位を保持できる。また、それにより会社経営に「継続性」が生まれる。株主は将来高い値段で株価を売却する機会を奪われるという不利益を蒙ることがありうるが、「継続性」が保証されることで得られる債権者、サプライヤー、顧客、経営陣、従業員からのコミットメントや忠誠に伴う利益はその不利益を上回る。

普遍的株主像(The Universal Shareholder)
プリンシパル―エージェント・モデルは、会社の株主は取締役の意思決定により株価が上昇すれば、株主みんながハッピーになる、というモデルを前提としている。ここで念頭に置かれているのは、1つの集合体(class)としての株主像である。Universal Shareholderとは投資先を分散化(diversified)している株主をいうが、そのような株主と分散化していない株主(Undiversified Shareholder)の利益が一致するとは限らない。

例えば、買収者Aが会社Bの株主にプレミアムを支払い買収したときに、買収者Aの株価が下落して買収者Aの株主が不利益を蒙るというケースは、稀ではない。この場合、A社とB社の株主両方を保有している株主は頭を悩ませることになる。
他方、B社にのみ投資している株主には、そのような悩みは生じない。これを、”negative spillover effect”という。

このような状況下においては、取締役会こそが、様々な株主が存在していることを考慮することで株主全体の利益となるような判断を下すことができる立場にあるというべきである。

社会的株主像(The Social Shareholder)
プリンシパル―エージェント・モデルは、株主というものは経済的な利益(「カネ」「高い株価」)を追求するものでありそれ以上のものでもそれ以下のものでもないこと、を前提にしている。しかし、最近では、「カネ」以外の利益を追求する株主も増大している。例えば、タバコ会社、人種差別を行っていると糾弾されている会社、従業員の労働環境が劣悪と指摘されている会社には投資をしないという方針で、投資活動をする株主も出現している(企業の社会的責任論にもつながる立場である)。

会社の経営・営業活動が社会にどのようなインパクトを与えるのかをもっとも的確に判断できるのは、様々な立場が混在している株主よりも、取締役会であるというべきである。

エージェンシー問題と定量的分析
以上の3つの立場が考慮すべきと主張するのは、"stakeholder"の利益である。
なぜなら、①stakeholderからコミットメントが得られ会社に対する投資・取引が活発化することで、株主は利益を享受できるし、②negative spillover effectを考慮することで、分散投資している株主の利益を守ることが可能となるし、③企業の社会的責任を考慮することで、これに関心のある株主の期待に応えることができるからである。

もっとも、上記のような説明に対しては、エージェンシー問題(agency problem)が発生するのではという懸念もある。つまり、取締役会にそのような権限を認めてしまっては、エージェントである取締役がプリンシパルである株主の意向から乖離して行動してしまい、結局プリンシパルである株主が不利益を蒙るのではないかという問題、特に敵対的買収の局面においてはstakeholderの利益考慮という美名の下で、取締役の自己保身(director's entrenchment)が生じる恐れが指摘されていることは、周知の通りである。

しかし、上で紹介した立場はいずれも、エージェンシー問題が存在することは正面から認めたうえで、それでもなお、取締役会が中心的な役割を担うことで得られる利益がエージェンシー問題という不利益を上回るのだと主張するものである。
ただ、想像に難くないが、そのような主張をデータで裏付けるということは難しい。実際、ビジネスマンの中には、このデータの裏づけの難しさを指摘する人が多い(参考:2006年11月3日 日本経済新聞 経済教室「企業価値を考える・買収、資本の論理 尊重を」)。

参考:Stout, Lynn A., "Takeovers in the Ivory Tower: How Academics are Learning Martin Lipton May be Right" (September 2005). UCLA School of Law, Law-Econ Research Paper No. 05-21
by NYlawyer | 2006-11-16 17:08 | Law and Business