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約10年ぶりのアメリカ上陸。ニューヨークでの生活、写真。


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村上ファンドのインサイダー取引事件の第一審判決

この件に関しては、ちゃんと調べないままブログを書いている間に第一審判決を迎えてしまいました。

インサイダー取引が古典的な経済犯罪で資本市場を欺く悪質な犯罪であることは間違いなく、にもかかわらず日本ではその摘発が十分でないことがこれまた昔から指摘されてきたことは事実だと思いますし、直接金融機能の強化が課題となっている中でインサイダー取引を許すべきではないという強い姿勢を司法が示したことには意義が認められると思います。

ただ、ブルドッグの買収防衛策に関する東京高裁決定(その一部)もそうなのですが最近気になるのは、裁判所がちょっと踏み込み過ぎ?と思われる価値判断を示しているところです。私は判決文を入手できていないので報道ベースですが、今回の村上インサイダー事件でも以下のようなくだりが判決中にあると報じられています。村上被告判決理由要旨 インサイダー取引事件(中国新聞HPより)
「ファンドなのだから、安ければ買うし、高ければ売る」という徹底した利益至上主義には、りつぜんとする。

インサイダー事件は刑事事件ですし、刑事事件では事実認定とは別に情状面について裁判所の考えが示されるのが普通です。
例えば、殺人事件では被害者を包丁で刺したという事実の認定の他、「何度も被害者を刺すなど極めて残忍な殺害方法である」から懲役●年とか、あるいはその他の事件、例えば知事の収賄事件でも知事が業者から職務に関連して金銭を受け取ったという事実の認定の他、「被告人はその職を辞しており社会的な制裁を受けている」から今回は執行猶予だ、という具合です。
ですので、本件でも村上被告人の犯罪態様について裁判所が情状を示すことそれ自体は問題ないわけですし、実際上記引用部分も情状のところで示されているのですが、問題はその表現でして・・eye-catchingな表現をわざわざ使わなくてもと思ってしまうのですが・・

極論するとすべての経済取引は利益を生み出すことが目的なわけで、「ファンドなのだから、安ければ買うし、高ければ売る」という姿勢が「徹底した利益至上主義」だとすると、世界中のほとんど全てのファンドが徹底した利益至上主義ということになってしまいます(エコ・ファンドは除かれるのですかね?)。ただこれは、今日の資本主義経済社会におけるファンドのプレゼンスを考えると少し言い過ぎのような気がします。しかも以前書いた記事で専門家の人たちからコメントをもらったのですが、日本だけでは運用しきれない莫大な金額のお金がこの国にはあるわけで、その点でも、世界第二位の経済大国の裁判所が「安ければ買うし、高ければ売るという姿勢は徹底した利益至上主義」だとか「利益至上主義はけしからん」といったところで・・と思うのは私だけでしょうか?

また、何をもって「アクティビスト」というかは別にして、この種のファンドが活動することで経営陣へ規律が働くことは間違いないと思いますし、ヘッジファンドなどが資本市場に流動性を供給していることも間違いないと思います。そして、これらのお金はめぐりめぐって日本の家計=経済そのものなのだと思います。裁判所が各種ファンドの意義についてどう考えているのか、ファンドの意義を一切否定するものなのかは今回の判決では必ずしも明らかではないのですが、かなり保守的な考えを持っているかのような「印象」を受けます。

さらに脱線しますが、これも前に書いたとおり、お釣りが一円でも違えば閉店後に皆で現金を数え直し、あるいは銀行預金がスズメの涙でけしからんと批判する国民なのに、「利益追求はほどほどにね」ということになのでしょうか。金融立国というテーマもある中で一連の判決等から伺えるこの国の金融というものに対する考え方が「曲解」され外国から「誤解」されるのではないかと懸念してしまいます。
この、印象、曲解、誤解という可能性があるからこそ、過激な表現は使ってあまり欲しくないのですが。。。

この事件は控訴されたようですので上級審での判断も示されますし、ブルドッグの件も最高裁の判断が示される可能性があります。バランスの取れた判示がなされることを期待したいと思います。
村上ファンドのインサイダー取引事件の第一審判決_e0036628_1474370.jpg

by NYlawyer | 2007-07-20 09:04 | Law and Business