「ほっ」と。キャンペーン


約10年ぶりのアメリカ上陸。ニューヨークでの生活、写真。


by NYlawyer

プロフィールを見る
画像一覧

検索

カテゴリ

Ball Game
Central Park
Colors of New York
Law and Business
Law Firm
Law School
NYC Art
NYC Bridge
NYC Restaurant
Rockefeller Center
Thought On...
Travel
Washington Sq. Pa

以前の記事

2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 01月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2003年 12月

お気に入りブログ

七里ヶ浜だより Lett...
ブログヨコハマ
街の風景 ~横浜・東京篇~
LAT37N”
Notes from N...
ヨコハマな日々
TJアドバイザーズ代表T...
NED-WLT
Cutting Edge
京都の旅・四季の写真集
京都写真(Kyoto P...
ウォールストリート日記
NY THEMES
お散歩日和 ー京都の風ー
Snap of 鎌倉
Tori Box
NewYorkScenery
Life @ Harva...
tempo rubato...
日常写真
IMD留学記
It's a Small...

ライフログ


パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)


見えないアメリカ (講談社現代新書 1949)


ヤバい経済学 [増補改訂版]


まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか


私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書 (723))


政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年


ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない) (朝日新書)


「みんなの意見」は案外正しい


ウェブ時代 5つの定理 この言葉が未来を切り開く!


The Age of Turbulence


ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)


グーグル革命の衝撃 (NHKスペシャル)


獄中記


生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)


ロングテール―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略


ザ・ペニンシュラ・クエスチョン―朝鮮半島第二次核危機


Making Globalization Work


マサチューセッツ通り2520番地


フラット化する世界(上)


会社法入門


ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる


ビジネスは人なり 投資は価値なり―ウォーレン・バフェット


Mergers, Acquisitions, and Corporate Restructurings (Wiley Mergers and Acquisitions Library)


Corporate Governance


A Random Walk Down Wall Street: The Time-Tested Strategy for Successful Investing


Sales, Leases and Electronic Commerce: Problems and Materials on National and International Transact


The Chairman


A Window Across the River


Something Borrowed


Sisters-In-Law: an Uncensored Guide for Women Practicing Law in the real world (Sphinx Legal)


アメリカ大統領の英語―就任演説 (第1巻)


NHKスペシャル マネー革命〈1〉巨大ヘッジファンドの攻防


Corporate Finance


Commentaries and Cases on the Law of Business Organization


American Law In A Global Context: The Basics


実験国家アメリカの履歴書―社会・文化・歴史にみる統合と多元化の軌跡


アメリカ過去と現在の間


セント・オブ・ウーマン/夢の香り


東京タワー プレミアム・エディション


Esquire (エスクァイア) 日本版 10月号 [雑誌]


Gokutabi New York―行くたびに違う時間私のニューヨーク


JET STREAM NEW YORK SUCCESS STREET

人気ジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧

<   2006年 10月 ( 28 )   > この月の画像一覧

プライベートエクイティ・ファンドとヘッジファンドのコンバージェンス

最近、アメリカでは、「プライベートエクイティ・ファンドとヘッジファンドは収束・収斂(Convergence)しつつある」と言われることが多いが、これは一体何を意味しているのだろうか。
まず、Convergenceと言われる現象が始まる前の2つのファンド像を、自分の理解に基づいて明らかにしておく(間違っていたら指摘して下さい)。

ヘッジファンドのビジネスモデル
ヘッジファンドは、ニッチな実態のよく分からない怪しい存在であった。彼らの基本戦略は市場の「非」効率性(market inefficiency)をつくという点にあり、理論値としての株価とマーケットで付けられている株価とのギャップからリターンを得ることで、絶対的リターン(absolute return)を狙うというものである(value finderとしてのヘッジファンド)。ただ、マーケットが動きそのギャップが埋まってしまっては商売にならないので、市場よりも自分たちのほうが早く動くことが求められる。したがって、彼らの株式保有期間は非常に短く、時間単位・分単位の攻防もあるという。必然的に彼らが投資するのは流動性の高い金融商品となる(イングランド中央銀行やロシア政府に喧嘩を売ったジョージ・ソロスは。もっと流動性の高い「通貨」のヘッジをしていた)。また、流動性が失われてしまう数の特定の株式を取得するようなこともまずなかったと言ってよい。これには以下のような事情がある。すなわち、ヘッジファンドとその投資家との間には、ファンドへの投資完了後一定期間経過後に投資家から請求があった場合、ヘッジファンドはその時点までのリターンを計算・確定し当該投資家に資金を返還しなければならないという取り決めがなされるのが通常である。それゆえ、流動性・換金性が高い金融商品で資金を運用していなければキャッシュがショートしてしまい、払戻し請求に応えられない。このように、ヘッジファンドの伝統的な投資戦略は、短期的なリターンに重視を置くものであった。

プライベートエクイティ・ファンドのビジネスモデル
他方、プライベートエクイティ・ファンドは、会社の株式の100パーセントあるいはそれに近い数字の株式を握ることによりじっくりと会社の再建・経営改善に取り組み、最終的には再上場や他への売却等で、利益確定を目指すという手法をとる(value creatorとしてのプライベートエクイティ・ファンド)。100パーセント近いコントロールを取るのは、より柔軟で機動的な会社経営が可能となるからである。このように対象会社の再建・経営改善へのコミットメントが前提となるから、プライベートエクイティ・ファンドの投資家は、一定期間、出資の払い戻しを請求することができないという約定がなされることになる(ロックアップ条項)。
プライベートエクイティ・ファンドの投資戦略は、伝統的には、長期的なものであったと言える。

ヘッジファンドのプライベートエクイティ参入:さらなるリターンを求めて
ところが、当初は怪しい存在であったヘッジファンドも新規参入による競争激化によって絶対的リターンの追及が困難となる。他方、プライベートエクイティ・ファンドはコンスタントにマーケットをアウトパフォーム(outperform)しており(参照:Reverse LBOs)、プライベートエクイティ・ファンドの得ているリターンはヘッジファンドには魅力的に映る。そこで、ヘッジファンドもプライベートエクイティ業務に参入してきたというわけである。例えば、サーベラスキャピタルなどは、トイザラスなどのバイアウトにも積極的に関与し(これらではビッドに勝てなかったが)、GMの子会社GMAC買収では「ヘッジファンドもついにここまできたか」という感じで報道されていた。

アクティビスト・ファンドの存在/各種ファイナンスのノウハウの蓄積
ヘッジファンドのプライベートエクイティ・参入にはアクティビスト・ファンドの存在というのも影響していると言えるだろう。アクティビスト・ファンドは、M&Aにイベント・ドリブンあるいはロング・ショートのような形で関与するのではなく、一定数の株式(基本的には5~10%)を取得することで能動的にコーポレートガバナンスに関与しようとする。彼らは、内部留保が多い会社に対しては(特別)配当や自社株買いの実施を要求し、遊休資産があればその売却を要求し、あるいは自派取締役を送り込む(Board Representation)ことで経営に関与しようとする。究極的にはパートナーと共同で企業を買収して会社の再建・経営改善に取り組み、株主価値の増大を目指す戦略を採るところが出てきたのである。この局面においてもアクティビスト・ファンドは短期の利益追求を目指しているが、上に述べた手法はプライベートエクイティ・ファンドのそれに非常に近い。また、ヘッジファンドはDIPファイナンスやLBOのファイナンスまで手がけている(メザニンや2nd Lienの出し手である)。これをロー・スクールで最初聞いたとき非常にびっくりしたが、この種のM&A関連のノウハウが影響していることは間違いなさそうである。

プライベートエクイティ・ファンドの思惑
プライベートエクイティ・ファンドもヘッジファンド的になりつつある。というのは、プライベートエクイティ・ファンドが会社を買収するだけではなく流動性の高い金融商品を買うようになり(買収対象としての会社の流動性は決して高くない)、また、自らヘッジファンドを買収し自分の支配下に取り込むところも出てきたからである。プライベートエクイティ・ファンドとしては、前述のロックアップ条項により投下資金の流動性を奪われることをよしとしない投資家の意向に応えるためにも、短期運用(=随時払戻し)のファンドを作ることが急務である(そうしなければ投資家が資金を他のファンドに廻してしまう恐れがある。しかし、自分たちでヘッジファンドを運営すれば、ファンド内でプライベートエクイティ投資とヘッジファンド投資にマネーが動くだけでファンドの中ではプラスマイナスゼロであり、ファンドの経営という観点からは好ましい。)。また、投資家としても、新規資金を受け付けてくれないヘッジファンドに代わるものとして、プライベートエクイティ・ファンドにもヘッジファンド的運用を目的とする資金を預けられることができ、好ましい。もっとも、ヘッジファンドもプライベートエクイティ・ファンドもスキルセットは微妙に異なるから、一からスタートアップすることは難しいし時間がかかる。そこで、プライベートエクイティ・ファンドの中にはヘッジファンドを買収し取り込むところも出てきている。最近よく目にするプライベートエクイティ・ファンドによるヘッジファンド買収のニュースは、これにより説明できる。

ところで、Convergenceの要請には、①ヘッジファンドがプライベートエクイティ案件に投資する、あるいは②ヘッジファンドとプライベートエクイティ・ファンドを一つのビークルにぶら下げる形で管理運営するという形で対応するのが一般的なようである。
①のスタイルをとる場合、ヘッジファンドは「サイドポケット」と呼ばれる別のアカウントのようなものを設けて、そこからプライベートエクイティ・ファンドに投資するようである。これには事情がある。ヘッジファンドのフィーは「純資産の何パーセント」という形で決まることが通常であるが、プライベートエクイティ・の投資先は非上場会社でありその価値の評価は非常に難しく、これはフィーの算定にも影響を及ぼす。したがって、プライベートエクイティで運用している資産についてはパフォーマンス・フィーを採らず払戻しもなされない。しかし、プライベートエクイティ運用分が大きくなりすぎると、適時の払戻しができなくなるので、サイドポケットを運用資産全体の30パーセント以下程度に抑えるように仕組まれる。②のメリットは、先に述べたスキルセットの違う人材を効率的な配置と、効率的な資金調達が可能になるという点にある。
こうして見ると両者がそれぞれの思惑を持ってコンバージェンスが進んでいるように見えるが、ヘッジファンドの方がプライベートエクイティ案件に進出していることがこの現象を生んでいると見るのが一般的な理解のようである。また、全てのヘッジファンドがプライベートエクイティ業務への進出に熱心なわけではなく、運用難に陥る可能性のある巨額の資金を抱えるヘッジファンドが熱心であると言われている。

ヘッジファンドの台頭とコーポレートガバナンス
このようにかつては怪しい存在であったヘッジファンドがM&Aの表舞台に出てくると、会社法、特にコーポレートガバナンスとの関係に注目が集まるのもごく自然ではある。実際、実務の世界ではファンド組成に関わるアドバイスだけではなく、M&Aのコンテクストでのヘッジファンドの存在を前提とした議論がなされつつある。しかし、この分野に関しては実務が完全に先行しており、この分野を論じられる学者はアメリカにもまだあまりいないはずだ。

ということで、前置きが非常に長くなったが、次回はこのトレンドを論じる数少ない論文のうち、Kahan, Marcel and Rock, Edward B., "Hedge Funds in Corporate Governance and Corporate Control" (July 2006). U of Penn, Inst for Law & Econ Research Paper No. 06-16をネタに、ヘッジ・ファンドの台頭とコーポレート・ガバナンス論に触れることにする。
[PR]
by NYlawyer | 2006-10-31 13:12 | Law and Business

Midtown Skyline from Union Square

e0036628_1342425.jpg


オマケ
[PR]
by NYlawyer | 2006-10-30 13:44 | Colors of New York

Apple in Big Apple

e0036628_11132642.jpg


More
[PR]
by NYlawyer | 2006-10-29 11:13 | Colors of New York

Chihuly at The New York Botanical Garden

e0036628_1352529.jpg


More
[PR]
by NYlawyer | 2006-10-28 14:06 | NYC Art

The New York Public Library

e0036628_15582384.jpg


More
[PR]
by NYlawyer | 2006-10-27 16:02 | Colors of New York

ロースクール的コーポレート・ガバナンス論 経営判断の原則編⑥

執行役へのBJRの適用を認めるべきと主張しJohnsonに反論するのが、Lawrence A. Hamermesh and A. Gilchrist Sparks III, "Corporate Officers and the Business Judgment Rule: A Reply to Professor Johnson", Business Lawyer, Vol. 60, May 2005である。

考え方は基本的に同じ。上記①②③がOfficerの判断にも妥当するのかを検討する。

e0036628_13314759.jpgまず、①取締役のリスク・テイキングの後押しと報酬の関係については、(1)程度の差こそあれBJRの適用を受ける取締役も、執行役と同様、業績連動型・インセンティブ型報酬を受け取っている場合が多いのだから、業績連動型報酬がBJR適用を否定することにはならないし、(2)潜在的に執行役が負担する過失責任の賠償金額は報酬額に比べてはるかに多額になりうるのだから、リスクに見合う報酬を得ているという主張は必ずしも当たらないとする。これは、要は、高い報酬もらっているんだから執行役はリスクをとる前提で地位に就いている(だからBJRを適用する必要はない)と言えるかどうかの争いである。もちろん、Johnsonも執行役は役員保険に加入しているのだから①-(2)は理由にならないと主張するのだが、Hamermeshらは保険約款の規定を持ち出してこれに反論を加える。
また、Johnsonは、賠償額が大きくなる可能性があるとしても、執行役と会社との間の合意によってduty of care違反の責任を免除するか、賠償金額に上限を設けておけば、執行役が不当に多額の責任を負うことは避けられるとする。しかし、交渉や契約化を通じてそのようなアレンジメントを作り上げていくのでは取引費用(transaction cost)がかかり妥当でないと、Hamermeshらから反論が加えられる。

次に、②ビジネス判断への司法の介入防止のポイントは、ビジネス判断における注意(care)に対する司法判断にあと後知恵による判断・バイアスが生じる懸念があるのであれば、執行役の判断についても同様の懸念が生じるはずである。特に、取締役と執行役の兼任者に対して、株主が代表訴訟を提起したときには、裁判官・陪審員にとって、被告が取締役と執行役のどちらの立場で行動しそれが会社に損害を生じさせたのを認定することは非常に難しい(から、取締役にはBJR、執行役にはordinary duty of careと分けることは困難である、という主張か)。

最後の、③取締役会のガバナンス機能の保持に関する議論は、やや複雑である。
執行役に対する責任追及をするか否かの取締役会判断に、司法の謙抑性の観点からBJRが適用されるという点は、JohnsonとHamermeshらは一致している。Hamermeshらの主張のポイントは、司法の謙抑性は、取締役会の執行役に対する請求をめぐる法律関係を規律するルールをどう考えるかとは無関係であるという点にある。かかるルールは、取締役会が判断する際に「ビジネス上の問題」(a matter of business judgment)として問題とされるべきではなく、執行役が会社との間の契約からどれだけ逸脱したかという「法解釈の問題」(a matter of law)に問題に他ならない。したがって、執行役が注意義務を欠いていたか否かを認定するためのルールが何であろうと(BJRであろうと、ordinary duty of careであろうと)、執行役の信認義務違反の責任追及に関する取締役会の判断は、裁判所により尊重されるべきである。

他方、執行役を取締役よりもduty of careによる責任を問われやすい内容のデフォルト・ルール(Hamermeshらの立場ではordinary duyt of careやnegligenceはこれにあたることになるのだろう)を設定する立場に置くことは、取締役会の経営権限を侵害することになるし、BJRの目的達成を阻害してしまう。なぜなら、(a)責任を問われやすい状況では執行役は責任を免れようと経営上の決定を取締役会に仰ぐようになり、必要なリスク・テイキングをしなくなってしまう。また、(b)執行役が取締役会に決定を委ねるのであれば、取締役会による執行役への権限委譲が難しくなり、取締役会が会社経営事項の全てを決める「頭でっかち」(Top Heavy)な会社になってしまう。これには時間とコストがかかり妥当でない(機動的な会社経営が困難となる)。

以上より、HamermeshらはBJRのRationale①~③が妥当するので、執行役の行為にもBJRを適用すべきだと結論付ける。もっとも、Hamermeshらの立場でもBJRの適用範囲には限界がある。会社の内規や取締役会の決定に反する行為、取締役会の権限委譲の範囲を超えた行為、利益相反行為(a conflict of interest)には、BJRは適用されない。

---
前回と合わせて執行役へのBJRの適用可能性について「べき論」(Policy Debate)を中心に見てきた。このPolicy Debateこそが日本の法学部の授業にはなく(と言い切ると語弊がありますかね?)アメリカのロースクールで頻繁に提示される視点であり、勉強をしていて新鮮なところである。しかし、条文が存在しない土俵上での「べき論」は裸の価値観のぶつけ合いという面もないではないので、「答え」らしきものがなかなか現れてこない。実際、教授自ら暴走することもあるし、学生の発言も不規則発言になることもある。もちろん、「こういう解釈を採ることでEfficiencyを追求しsocial wealthをmaximizeできる(するべきだ)」といった大きな方向性・軸の議論はあるのではあるが。
このBJRとOfficerの問題も「どっちが正しいか」なんて分からない。だからこのブログでも結論らしきものを示すことはない。これが「ロースクール的」の意味するところでもある。
e0036628_13328100.jpg

「落としどころ」をどうしようかと思っていたがうまく(?)まとまりホッとしているので、次のネタは未定です。
[PR]
by NYlawyer | 2006-10-25 13:27 | Law and Business

ロースクール的コーポレート・ガバナンス論 経営判断の原則編⑤

先日、いい感じで定例化してきた「ニューヨーク金融+αの会」の2次会で行ったマンハッタンのゲイ・バーで飲んでいたときに、「コーポレート・ガバナンスに関する投稿が滞りがちである」との指摘を某プライベート・エクイティ・ファンド勤務の友人から受けたので、先を続けよう(ちなみに、次回は有名バンカーをゲストに迎える予定である)。

Officer(執行役)にBusiness Judgment Rule(BJR)が適用されるかは、BJRのRationaleがOfficerにも妥当するかという形で検討される。

まず、BJR適用否定論として、Johnson, Lyman P.Q., "Corporate Officers and the Business Judgment Rule" . Business Lawyer, Vol. 60, February 2005を紹介する。Johnsonは執行役にもBJRが適用されると判断したものと従来理解されていた判例(これがたびたび引用されて「そのような判例がある」という言説を生み出している)が、「取締役兼執行役」の責任に関する事案であったことを明らかにし、執行役の地位にのみある者へBJRの適用を認めた判例は存在しないと主張する。

そして、BJRのRationaleとして、
①取締役のリスク・テイキングの後押しEncouraging directors to serve and take risks
②ビジネス判断への司法の介入の防止Avoiding judicial encroachment into business decisions
③取締役会のガバナンス機能の保持Preserving the board's governance rule
が挙げ、これが執行役にも妥当するかを検証している。

Rationale①について=妥当しない
(1)執行役の報酬は取締役のそれに比べて高額であり、しかも多くは業績連動型・インセンティブ型である。したがって、取締役とは異なり、執行役はリスクをテイクすることの対価を受領している。

(2)業績連動型の報酬制度の普及は、「執行役は企業特有の人的資本(firm specific human capital)という分散化によって低減することのできないリスクを有しており、株主と違ってリスク・テイキングしにくいという事情があるので、自分たちの地位を守ろうという意識が働いてしまう。」という主張と整合しない。「業績連動型の報酬制度であっても執行役は株式という形で富を有しているから必ずしも裕福ではない。」との主張に対しては、1つの会社に投資をしていることは「投資が分散されていない」ということを必ずしも意味しない、と反論する。

(3)会社定款に規定を設けることによってもduty of care違反の責任を免れることはできないなど、法律上の取り扱いにおいても取締役と執行役には違いがある。また、取締役が責任リスクから保護されるのはBJRではなく非常に軽いduty of careのお陰であって(Van Gorkom)、執行役にもBJRを適用することでリスク・テイキングを後押しするというのは筋が違う。執行役は会社のエージェント(代理人)なのだから、エージェントに関する通常の注意義務の基準で判断すればよく、BJRを適用する必要はない。

Rationale②について=妥当する(省略)

Rationale③について=妥当しない
取締役会が法令上、経営監督権限を有していることは、執行役へのBJRの適用を後押しするものではなく、執行役の信認義務(Fiduciary Duty)違反行為の責任追及に関する取締役会の判断を尊重することにつながる。

デラウェア州法では、執行役が信認義務違反の行為をした場合には、取締役会はこれを調査し、執行役に対して責任追及の訴訟提起をするか(a)、社内規則に基づく処分をするか(b)決断しなければならない。
(a)取締役会が訴訟提起を選択した場合には、問題となっている執行役の行為はBJRに照らして判断されるのではなく、agent(代理人)に適用される通常の注意義務に関する基準に照らして判断されるはずである。にもかかわらず、裁判所がBJRを適用してしまっては(訴訟を通じて責任追及をするという)取締役会の判断を無にし、BJRのRationale③にそぐわない(本来BJRは、執行役を注意義務から解放するものではなく、取締役会の判断の裁判所による安易な事後的な検証を排除しようとするものである)。
逆に、(b)取締役会が訴訟を提起しないと判断した場合には、株主が株主代表訴訟を起こすことになろうが、その場合取締役会が適正な手続を踏んでそのような結論に至ったのであれば、BJRの適用により、取締役の責任は生じないことになる。
裁判所がBJRを執行役に適用せず取締役会の判断を尊重することが直ちに、取締役会による執行役に対する訴訟提起の増加につながるわけではない。むしろ、取締役会が執行役に対して優位に立つことで様々な交渉上のレバレッジが生じ、ガバナンスの強化につながる(のでBJRを適用すべきでない)。

したがって、Rationale①と③が妥当しないので、執行役にはBJRは適用されない。なお、BJRが適用されないので、執行役には、通常の注意義務・不作為(ordinary care or negligence)に関するルールが適用されることにある。そこでこれが妥当であるのかを検証する必要があるが、
(I)株主がこのルールが厳しすぎると考えるのであれば、(i)契約上のアレンジメント(雇用契約において執行役の責任レベルを低くする・州法のレベルで定款において執行役の責任を免除する規定を導入することを認める)、あるいは(ii)役員(D&O)責任保険で別途対応することができる。
また、(II)実際には、執行役の責任を問うことは容易ではない(から、不当に厳しい結論には至らない)。なぜなら、執行役の「信認義務違反行為」と会社の「損害」との「因果関係」の立証は、一般的に困難であることが多いからである。

「執行役にBJRを適用するRationaleはないし、BJRが適用されないからといって大きな不都合はない。」これが、Johnsonの主張である。

(次回は、Johnsonに反論する論文を紹介する。)
e0036628_14261983.jpg

[PR]
by NYlawyer | 2006-10-24 14:08 | Law and Business

Another Aspect of the Firm

e0036628_7335864.jpgずっとやっている案件が佳境に入ってきたのですが、先日金曜日の夕方に、一緒にやっている若手アソシエイトからメールが。
依頼内容としては、こちらがリクエストした修正文言が相手方に受け入れられたかどうか(そもそもこちらからリクエストしたのかどうか、それが受け入れられたかどうか)、受領済み書類の確認ができる一覧表を作成し、また、こちらが相手方に送った書類と今回受領した書類の比較文書(デルタビュー、blackline copy)の作成をそれぞれ依頼する内容で、それを土曜日中にやって欲しい、とのこと。
印象だけですが、どうもこちらの事務所では作業のための作業というか内部資料作りに時間を取られることが多いように思います。この依頼も、結局のところ、このアソシエイトが一覧できる資料が欲しいという趣旨の依頼でしょう。この案件ではこのアソシエイトのお相手をしなければならず、これまでも非常にストレスが溜まっていたのですが、今回のメールで「こいつの相手ばかりしておれん」と思い、(ゴミ箱を蹴飛ばすようなことはせず)あくまでも丁重にお断り~。

日本の渉外事務所と呼ばれるような事務所は、アメリカの事務所のプラクティスを参考にしている部分が多いわけですが、決定的に違うと思われるのが、新人弁護士の使い方・育て方です。

More
[PR]
by NYlawyer | 2006-10-23 07:39 | Law Firm

Pumpkin

ハロウィンが近づいており、あちこちで写真のようなHalloween Pumpkinを見かけるのだが、裏返してみると"Made in China"と書いてあったりする^^
e0036628_1228848.jpg

[PR]
by NYlawyer | 2006-10-22 12:28 | Colors of New York

Somewhere in Bronx

e0036628_12204514.jpg


More
[PR]
by NYlawyer | 2006-10-22 12:10 | Colors of New York